診断のポイント
【1】20~40歳。
【2】ステロイド治療歴(約50%),アルコール飲酒歴(約30%)。
【3】発症直後の単純X線での,わずかな圧潰所見を見逃さない。
【4】確定診断に困ったときは,迷わずMRI。
症候の診かた
【1】壊死の発生と発症の違いに注意。
❶骨壊死が発生した時点(発生)は無症状。壊死巣が圧潰をきたしてはじめて痛みが生じる(発症)。
❷発生と発症との間に時間的な差がある(通常は,半年~1年)。
【2】骨壊死発生の早期同定には,MRIが有用。
【3】発症した場合(股関節痛)は,単純X線にて圧潰像が確認できる。
検査所見とその読みかた
単純X線における帯状硬化像,MRIにおける低信号バンド像が壊死巣と健常部との境界に相当する。その所見に基づいて,以下の病期,病型を確定させる。
❶病期(Stage)
■Stage 1:X線では特異的所見はないが,MRI,骨シンチグラフィ,病理組織像で異常所見を認める。
■Stage 2:X線で帯状硬化像などが出現するが,骨頭圧潰を認めない時期。
■Stage 3:骨頭圧潰を認めるが,関節裂隙は保たれている時期で,圧潰が3mm未満は3A,3mm以上は3B。
■Stage 4:関節症変化の出現する時期である。
❷病型(Type)(図1図)
■Type A:壊死域が臼蓋荷重面の内側3分の1未満のもの,または壊死域が非荷重部にのみ存在するもの。
■Type B:壊死域が臼蓋荷重面の内側3分の1以上3分の2未満のもの。
■Type C:壊死域が臼蓋荷重面の内側3分の2以上に及ぶもので,壊死域の外側端が臼蓋縁内にあるものはC1,臼蓋縁を越えるものはC2。
確定診断の決め手
【1】以下の5項目のうち2つを満たすと診断可能(図2図)。
❶単純X線での骨頭圧潰(crescent sign)(▷)
❷単純X線での骨頭内の帯状硬化像(➡)
❸骨シンチグラフィでのcold in hot(cold