診療支援
診断

変形性膝関節症
Osteoarthritis of the Knee
三浦 裕正
(愛媛大学大学院教授・整形外科学)

診断のポイント

【1】中高年以上。

【2】非外傷性の膝関節痛で体重負荷時に増強。

【3】安静時痛はないか,あっても軽度。

【4】立位X線写真正面像で,骨硬化,骨棘,関節裂隙狭小化の所見。

症候の診かた

【1】水腫:膝蓋跳動にて水腫の存在を疑う。大量の水腫が貯留すると安静時痛を伴うようになる。

【2】圧痛:内側型であれば,通常,内側関節裂隙に圧痛を認める。

【3】可動域:屈曲制限や屈曲拘縮が出現する。

【4】変形:内側型では内反変形をきたす。

【5】不安定性:内側型では内反不安定性を呈し,片脚立位にて内反が増強するlateral thrustが観察される。

【6】大腿四頭筋の筋萎縮:膝蓋骨上縁から10cm近位での両側の大腿周径を比較する。

検査所見とその読みかた

【1】立位X線写真で骨硬化,骨棘,関節裂隙狭小化の有無を確認する(図1)。

【2】正確な関節裂隙の評価には立位X線写真正面像が必須であり,かつ脛骨関節面の接線方向にX線を入射することが重要である。

【3】X線グレード分類はKellgren&Lawrence(KL)分類(表1)がよく用いられる。

確定診断の決め手

【1】非外傷性膝関節痛の存在。

【2】立位X線写真正面像による骨硬化,骨棘,関節裂隙狭小化の所見。

【3】血液生化学検査にて他疾患の否定。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】特発性膝骨壊死

❶中高年以降の女性に好発。

❷大腿骨内側顆に好発。

❸進行するとX線写真にて透亮像や関節面の圧潰像。X線写真上異常のない時期にもMRI T1強調画像にて低信号。

【2】関節リウマチ()

❶X線写真で骨萎縮像あり,骨増殖性変化の欠如。

❷血液生化学検査でCRP,リウマチ因子,抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の高値。

【3】偽痛風

❶熱感,発赤,腫脹,急性の膝関節痛。

❷穿刺液の偏光顕微鏡検査にてピロリン酸カルシウムの確認。

【4】化膿性関節炎

❶熱感,発赤,腫脹,急性の膝

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