診断のポイント
【1】小児期と成人期に足の変形をきたす疾患を知る。
【2】小児期では,乳児期,幼児期,思春期にそれぞれみられる足の変形を知る。
❶乳児期では,先天性内反足,内転足,垂直距骨,外反踵足,巨趾症,合趾症,多趾症がある。
❷幼児期では小児期扁平足がある。
❸思春期では腓骨筋痙性扁平足がある。
【3】成人期では,変形性足関節症,成人期扁平足,外反母趾,強剛母趾,内反小趾,ハンマー足趾変形などがある。
【4】糖尿病や関節リウマチの全身疾患でも足の変形が生じる。
【5】麻痺足では,凹足,尖足,足趾変形など弛緩性・痙性麻痺に特徴的な変形が生じる。
緊急対応の判断基準
【1】新生児で徒手矯正が不能な硬い先天性内反足の場合
❶できる限り早期の徒手矯正とキャスト固定(Ponseti法)が必要。診断したら足の外科専門医あるいは小児整形外科医に紹介する。
❷転院が適切と判断した場合,詳細な検査は不要。
症候の診かた
【1】変形
❶変形は立たせて初めて明らかになる場合がある。
❷必ず,健側と比較する。
❸後足部と前足部に分けて観察する。踵接地・足底接地の様子,土踏まずの有無,後足部では踵骨の内・外反,前足部では母趾とそれ以外の外側趾変形と関節拘縮の有無を評価する。
【2】疼痛と腫脹:部位を詳細にとらえる。足部の診察では圧痛点が正確に評価できれば,約80%は診断可能である。
【3】足底の胼胝:有無と部位を評価する。
【4】下腿三頭筋-アキレス腱:タイトネスを評価する。さらに,足部自体の可撓性(やわらかさ),特に踵骨内・外反やChopart関節の回内・外の可撓性を評価する。
検査所見とその読みかた
【1】単純X線写真:荷重時の足部正面,側面,足関節正面像は必須の検査である。非荷重時では,足根骨の位置異常を正確に評価できない。
❶外反母趾:足部正面像で母趾基節骨軸と第1中足骨軸のなす角度(外反母趾角)で重症度を評価する。
❷変形性足関節