診療支援
診断

結節性紅斑
Erythema Nodosum
水川 良子
(杏林大学臨床教授・皮膚科学)

診断のポイント

【1】成人女性の下腿伸側。

【2】有痛性の紅斑で,浸潤を伴うことが多い。

【3】時に発熱などの全身の徴候を伴う。

【4】感染症が先行する。

【5】全身性疾患の皮膚症状として生じている場合もあり,全身精査を行う。

症候の診かた

【1】皮疹

❶下腿伸側を中心に2cm大前後の浸潤を触れる紅斑(図1)を左右対称性に認めることが多い。

❷紅斑はなだらかに隆起して軽度熱感を伴い,圧痛を認める。時に癒合し10cm大程度の局面を形成する。網状の皮斑や潰瘍は認めない。

❸Behçet病の皮膚症状の1つとしてみられる場合には,比較的小型の1cm大前後のものが多いといわれている。

【2】全身症状

❶多くの症例で発熱や関節痛を伴う。

❷ことに感染症を契機とする症例では発熱などの上気道感染症状や腹痛,下痢などの消化器症状に引き続いて,皮疹が出現する。

❸結節性紅斑はBehçet病を含む炎症性腸疾患やサルコイドーシス,大動脈炎症候群に合併することが知られており,それら内科疾患による腹部症状,眼症状などの全身症状の有無を確認する。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング検査

❶非特異的な炎症反応を反映して,末梢血白血球数の増加やCRPの上昇を認める。

❷アンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE),抗好中球細胞質抗体(ANCA)を,サルコイドーシスや血管炎の鑑別を目的として確認する。

【2】皮膚病理検査

❶必須の検査項目で,急性期では皮下脂肪織の隔壁に一致して,リンパ球や好中球の炎症性細胞浸潤を認め(隔壁性脂肪織炎:septal panniculitis,図2),確定診断に有用である。

❷炎症が遷延した場合には,巨細胞を含む肉芽腫の形成や線維の増生を伴うこともある。

確定診断の決め手

【1】下腿伸側優位の有痛性浸潤性紅斑。

【2】皮膚病理検査による隔壁性脂肪織炎。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】硬結性紅斑(図3)

❶下腿屈側優

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