診療支援
診断

■眼科領域の最近の動向
園田 康平
(九州大学大学院教授・眼科学)


 最近の眼科疾患診断のトピックスは「OCTアンギオグラフィ(OCTA)」である。OCT(optical coherence tomography:光干渉断層撮影)は非侵襲的検査で,無散瞳で網膜微細構造まで解析できるツールとして医療保険に収載され,数年前から眼科診療で広く普及している。近赤外光を利用して網膜の断面像を得ることのできる検査で,加齢黄斑変性,黄斑円孔,網膜浮腫などの網膜疾患,緑内障や前眼部疾患の診断や治療評価に有用である。

 OCT技術の急速な発展は目を見張るものがある。最初に実用化されたのはタイムドメインOCT(TD-OCT)である。TD-OCTは光波の干渉を実空間(時間領域)で行うが,光波の干渉をフーリエ空間(周波数領域または波長領域)で行う検出技術を「フーリエドメイン方式」と呼ぶ。フーリエドメイン方式は桁違いの高速解析が可能で,検査時間を短縮し,3次元解析を可能にした。波長固定光源と分光器を用いてフーリエ空間で検出するスペクトラドメインOCT(SD-OCT)と,光源の発信波長を高速に変化させることにより光波の干渉をフーリエ空間で行うスエプトソースOCT(SS-OCT)が実用化された。

 OCTAは,OCTを用いて眼底の血流を描出する新しい検査方法である。従来眼科で用いられてきた,フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)やインドシアニングリーン赤外蛍光造影検査(ICGA)とは異なり,造影剤を使用しないため検査が簡便で患者負担も少ない。造影剤による合併症も回避できるため,非常に期待されている検査方法である。

 OCTAでは同じ場所で時間のずれた網膜断面像を複数枚撮影する。このとき得られた像を比較すると,網膜視細胞層など固有層の信号強度はほとんど一致しているが,血流のある部分(すなわち血管)は,赤血球が内部を動いているため信号強度に経時変化があらわれる。OCTAはその部分

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