診療支援
診断

ドライアイ
Dry Eye
堀 裕一
(東邦大学医療センター大森病院眼科・教授)

診断のポイント

【1】自覚症状,およびBUT(涙液層破壊時間)5秒以下。

【2】眼乾燥感だけでなく,異物感,眼痛,目の疲れ,視力低下も生じうる。

【3】フルオレセイン染色による細隙灯顕微鏡検査が有用。

【4】VDT作業の有無,膠原病の有無,併用薬剤(内服・点眼)について問診。

症候の診かた

【1】自覚症状:眼乾燥感だけでなく,ごろごろするといった異物感や眼痛,しょぼしょぼするという違和感,眼精疲労,視力低下や羞明感なども生じうる。一般的に午後や夕方から症状が悪化することが多い。

【2】極端に羞明を訴える患者や,まぶしがって眉をひそめる患者,日中は屋外で眼が開けられないと訴える患者は「眼瞼けいれん」である場合が多い。瞬目テストを行う。

検査所見とその読みかた

【1】フルオレセイン染色

❶フルオレセインを用いた細隙灯顕微鏡検査により,BUT測定と角結膜上皮障害の観察が可能。

❷フルオレセイン試験紙に2滴程度生理食塩液などを塗布し,よく振ってから下眼瞼縁に少し投与。多量のフルオレセインは判断を誤らせる。

❸BUT測定

開瞼してから角膜上で涙液層が破壊するまでの時間を計測。5秒以下が陽性。

フルオレセイン投与後,患者に軽く閉瞼させたのち,素早く目を開かせて計測。

❹角結膜上皮障害の有無

フルオレセイン染色にて点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy:SPK)が観察される。進行したドライアイでは,SPKが集まったパッチーパターン(patchy pattern)がよくみられる(図1)。

角膜だけでなく結膜を観察することが重要で,ブルーフリーフィルターを使うと観察しやすい(図2)。ドライアイでは角膜と結膜の両者に上皮障害がみられる。

【2】ドライアイ関連疾患の有無:細隙灯顕微鏡検査にて結膜弛緩症,上輪部角結膜炎などドライアイを引き起こす眼所見の有無を観察。

【3】涙液分泌能

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