診断のポイント
【1】徐々に進行する視力低下や羞明。
【2】高齢者(糖尿病,アトピー性皮膚炎や小児白内障は例外)。
【3】他の眼疾患を否定。
緊急対応の判断基準
【1】遠視眼では,白内障の進行による前房深度の減少に伴う急性閉塞隅角緑内障発作が発症した場合,眼科医による緊急対応を要する。症状は眼痛を伴う急激な視力低下,悪心・嘔吐。
【2】高度の視力障害がみられた場合,他疾患に合併した白内障もありうるので,眼科専門医に可及的すみやかに紹介。
症候の診かた
【1】徐々に進行する視力低下や羞明。特に明所での羞明が視力低下に先行することがある。
【2】加齢が主な原因であるが,糖尿病,アトピー性皮膚炎,長期の全身副腎皮質ステロイド投与歴も原因となる。
【3】確定診断は眼科医による視機能評価や細隙灯顕微鏡検査,他の眼疾患の否定と合わせて行う。
【4】小児白内障の診断は眼科専門医に委ねる。
検査所見とその読みかた
【1】患者の視力障害の訴えの詳細を聴取し,急激な視力低下か年余にわたる緩徐な視力障害かを判断する。
【2】眼痛,視野障害の有無を可能な範囲で検討する。
【3】アトピー性皮膚炎,副腎皮質ステロイド投与歴,糖尿病の有無を確認する。
【4】眼球運動障害や複視の有無などを評価する。
【5】乳幼児や小児の場合は,瞳孔の色調や患児の行動(注視行動)などから,視力障害を疑い,眼科専門医へ紹介する。
確定診断の決め手
確定診断は眼科医による視機能評価や細隙灯顕微鏡検査,他の眼疾患の否定と合わせて行う。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】糖尿病網膜症
❶糖尿病患者での白内障と糖尿病網膜症が合併。
❷緩徐な視力低下。
【2】慢性緑内障(→):高齢者の緩徐な視力低下。白内障との合併症例も多い。
【3】加齢黄斑変性症(→)
❶高齢者の緩徐な視力低下。
❷白内障との合併症例も多い。
確定診断がつかないとき試みること
病歴聴取のうえ,眼科専門医に紹介。