診療支援
診断

屈折異常
Refractive Error
神谷 和孝
(北里大学医療衛生学部視覚生理学教授)

診断のポイント

【1】裸眼視力は不良であるが,矯正視力は良好である。

【2】眼鏡やコンタクトレンズの装用により,視力障害は消失する。

症候の診かた

【1】眼光学系の焦点が網膜面に結像せず,網膜像のボケが生じる。

【2】焦点が網膜面より前方に結像するものを近視,後方に結像するものを遠視,経線方向で結像位置が2つになるものを乱視という。

❶近視,遠視,乱視は,それぞれ凹レンズ,凸レンズ,円柱レンズにより矯正が可能となる。

❷屈折異常がない場合を正視という(図1)。

【3】屈折異常が大きいほど,焦点位置がずれるため,裸眼視力が低下する。

検査所見とその読みかた

【1】裸眼視力検査

❶スクリーニング検査として簡便性が高い。

❷文部科学省の判定基準では,A:裸眼視力1.0以上,B:0.7~0.9,C:0.3~0.6,D:0.2以下とし,A以外は要精密検査となる。

【2】自覚屈折検査

❶検眼レンズを交換し,最高視力が得られるレンズ度数を求める。

❷調節力の影響を受けやすい小児では,調節麻痺薬(シクロペントラート塩酸塩,アトロピン硫酸塩水和物)を点眼したのちに,屈折検査を行う。

【3】他覚屈折検査:オートレフラクトメーターは,目の屈折状態を自動計測するものであり,広く使われている。

【4】検影法

❶眼底反射の動きを中和するレンズ度数を求める。

❷乳幼児の屈折異常のスクリーニングに有用である。

【5】波面センサー:波面計測によって,円錐角膜やレーシック(レーザー角膜切削形成術)後などの不正乱視を定量するのに有用であり,他覚的な屈折度数も求められる。

確定診断の決め手

【1】眼鏡やコンタクトレンズの装用により,1.0以上の視力が得られる。

【2】矯正視力が不良の場合,他の眼科的疾患の合併を疑う。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】偽近視:毛様体の調節緊張により一過性に生じる近視であり,調節麻痺薬の点眼により改善する。

【2】弱視()

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