診断のポイント
【1】本当は見えているが見えていないと申告する。
【2】視覚障害を説明する原因がない。
【3】視覚障害の程度とは矛盾する行動。
【4】自覚的検査所見と他覚的検査所見との不一致。
【5】疾病利得があり,診断書などを要求する。
症候の診かた
【1】視力障害
❶本当は見えているにもかかわらず見えないと申告する。また,事故や外傷に関連づけた視力障害を訴えることが多く,視力障害の原因になるような所見があっても実際より過剰な視力障害を訴えることがある。
❷視力障害の程度とは矛盾した行動がみられ,両眼性,片眼性のどちらもあり,検査に対する協力性に乏しい。
❸複数の施設の受診歴があることがある。
検査所見とその読みかた
【1】視力検査:屈折矯正をしても視力が出ないことが多い。
【2】対光反射
❶基本的には直接・間接反射ともに正常で迅速である。
❷しかし視力障害の程度と比較して,瞳孔の機能が保存されるLeber遺伝性視神経症は,行動上の制限も少なく,詐盲と間違われやすい場合があるので鑑別が必要。
【3】前眼部・中間透光体・眼底検査:視力障害を説明できるような器質的な異常を認めない。
【4】視野検査
❶求心性視野狭窄を示すことが多いが,半盲や中心暗点などもあり特有のパターンはない。
❷視力検査では全く見えないと答えるが視野検査が測定可能なことがあり,診断の助けとなりうる。
【5】電気生理学的検査,画像診断:視覚誘発電位(VEP)やCT,MRIで異常が見つからない。
確定診断の決め手
【1】他覚的検査所見では説明のつかない視覚障害。
【2】電気生理学的検査など,他覚的な眼科検査にて異常または器質的な疾患が認められない。
【3】視覚障害の認定が患者にとって経済的,社会的疾病利得となり,診断書などを要求する。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】心因性視覚障害
❶器質疾患がない視覚障害のため詐盲と間違われやすい。
❷詐盲は見えているこ