診断のポイント
【1】突然の発症。
【2】高度な感音難聴。
【3】原因が不明。
【4】中高年の発症頻度が多い。
症候の診かた
【1】突然に発症する原因不明な高度感音難聴であるが,病態はいまだに解明されていない。
【2】高度な難聴ほどめまいを伴う頻度が高いが,難聴とめまい症状の改善・悪化は繰り返さない。
【3】一側性がほとんどであり,数日かけて悪化する例もある。
【4】表1図に突発性難聴の診断基準を示す。
検査所見とその読みかた
【1】純音聴力検査における3周波数で各30dB以上の感音難聴であること。ただし,急性低音障害型感音難聴の診断基準にあてはまる例は除外する。
【2】機能性難聴も疑われる例では他覚的聴力検査も施行し,内耳性難聴を確認する。
確定診断の決め手
【1】純音聴力検査での隣り合う3周波数で各30dB以上の難聴が72時間以内に生じた難聴であること。
【2】難聴の改善や悪化の繰り返しがない。
【3】第Ⅷ脳神経以外に顕著な神経症状を伴わない。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】急性低音障害型感音難聴
❶低音域3周波数の聴力レベルの合計が70dB以上で,高音域3周波数の聴力レベルの合計が60dB以下または健側と同程度を示す。
❷比較的若年で女性に多い。
❸再発を繰り返す例がある。
【2】Ménière病(→)
❶耳閉感と持続するめまい症状や眼振を認める。
❷めまい・聴力悪化の反復をきたす。
❸めまい発作を伴わない非定型例(蝸牛型)が存在する。
【3】外リンパ瘻
❶中・内耳疾患や圧外傷の誘因があり,めまい・耳鳴・難聴を生じる。
❷瘻孔現象の存在。
❸誘因を認めない例もある。
【4】ムンプス難聴
❶急性の高度感音難聴発症と前後して唾液腺の腫脹を伴う。
❷ムンプス感染の既往がなく感染の可能性が高い場合や急性感音難聴発症から3か月以内にムンプスIgM抗体が検出される。
確定診断がつかないとき試みること
【1】CTやMRIで中耳・内耳や聴神