診断のポイント
【1】早期は特徴的所見に乏しい。
【2】進行するにつれて,咽頭痛,嚥下時の耳への放散痛,血痰,嗄声,呼吸苦などの多彩な症状が急速に出現する。
【3】頸部リンパ節腫脹が初発症状の症例も少なからず存在するので注意が必要である。
【4】アルコール常用者で,風邪症状が遷延するとき,下咽頭癌も念頭におき,精査する。
症候の診かた
飲酒,喫煙,貧血などのリスク因子の問診が重要である。漫然と診察しても見逃すことも多く,早期癌の発見は疑うことから始まる。
検査所見とその読みかた
全身状態の評価と,原発巣進展範囲を正確に判定し,喉頭温存治療の可否を決定する。
【1】進行癌であれば内視鏡検査により容易に診断可能である。
❶梨状陥凹の唾液貯留,披裂部の発赤,浮腫が認められるときは,癌の存在を考慮し精査する。
❷梨状陥凹深部から頸部食道入口部の観察は,modified Killian's positionをとること