診療支援
診断

喉頭癌
††
Laryngeal Cancer
志賀 清人
(岩手医科大学教授・頭頸部外科)

診断のポイント

【1】喫煙歴:喉頭癌(特に声門癌)は最も喫煙との関連性が高い癌腫である。喫煙歴がない場合でも受動喫煙の有無もチェックする。

【2】中高年男性:喫煙歴と関連して多くなる。Brinkman指数も参考になる。

【3】嗄声:声門型喉頭癌では初発症状となる。

【4】呼吸困難:進行癌では気道狭窄をきたすため,呼吸困難に対処する必要がある。

緊急対応の判断基準

【1】進行癌で気道狭窄がある場合は,窒息のおそれがあるため緊急気管切開の適応となることが多い。

【2】喉頭ファイバースコープによる腫瘍の観察が重要だが,患者の呼吸状態の観察も重要である。

❶呼吸時の狭窄音や仰臥位で呼吸苦がある,夜間に呼吸苦で目覚めるなどの訴えを注意深く聴取する。

❷さらに重症化すると起坐呼吸になり仰臥位になれなくなる。

症候の診かた

【1】嗄声:声門型喉頭癌の場合はほぼ必発の症状であり,早期の声門癌から出現する代表的な症状である。

【2】咽頭違和感・嚥下時痛:声門上癌の場合に初発症状として出現することが多い。

【3】呼吸困難:声門型,声門上型,声門下型,すべての進行喉頭癌で出現する。

【4】喉頭腫瘍:喉頭ファイバースコープで喉頭を観察し,腫瘍を確認する(図12)。

【5】頸部リンパ節転移:触診で確認するが,画像診断と比較して転移診断を行う。

検査所見とその読みかた

【1】造影CT:腫瘍の範囲や甲状軟骨,披裂軟骨,輪状軟骨などへの浸潤,喉頭外組織(前頸筋や甲状腺など)への浸潤を判定するのに有効であるため,画像診断としては第1選択として行う。T・N分類に用いる。

【2】FDG-PET:原発巣(喉頭癌)の局在や周囲への浸潤の程度,リンパ節転移の有無,遠隔転移の有無などの診断に用いる。

❶重複癌が発見されることもあり,多重癌の多い頭頸部癌では必須の検査である。

❷しかし,食道や胃の表在癌はその解像度から検出できないので上部消化管内視鏡検査

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