診断のポイント
【1】若年発症もあり。最も多いのは60~70歳台。
【2】舌癌>下歯肉癌>口腔底癌の順に多い。
【3】舌癌では舌縁>舌下面>舌背の順に多い。
【4】視診にて腫瘍性病変。
【5】触診にて硬結触知。
緊急対応の判断基準
舌癌・口腔底癌の潰瘍形成型では舌動脈から大量出血する場合あり。窒息を回避するため緊急的に気管切開術,輪状甲状膜切開術を要する。気道を確保したあとに止血を行う。
症候の診かた
【1】肉眼的には白色病変,粘膜不整,潰瘍性病変,隆起性病変など,さまざまな形態を示す。
【2】進行例では舌下神経麻痺を起こすことがある。
【3】自覚症状として違和感,痛み,出血,構音障害,摂食障害,頸部腫脹(リンパ節転移)などが挙げられる。
検査所見とその読みかた
【1】視診:白色病変,粘膜不整,潰瘍性病変,隆起性病変などを認める(図1図)。
【2】触診:粘膜下に硬結を触知する。
【3】造影MRI:原発巣の深部浸潤の評価に有用である。軸位断,冠状断で白色に造影される病変を認める(図2図)。
【4】造影CT:頸部リンパ節転移の評価に有用である。
❶上深頸部領域>顎下領域>中深頸部領域の順に転移がみられることが多い。
❷原発巣の評価には歯牙修復の金属材料がアーチファクトとなってしまうため,適さない。
【5】生検:壊死部位を避けて行う。
確定診断の決め手
【1】ある程度の経験を積めば,視診と触診でほぼ診断は付けられる。
【2】生検の結果で扁平上皮癌が確認されることによって確定診断が付けられる。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】進行癌:診断は難しくない。
【2】表在癌:白板症の鑑別に迷う場合がある。
❶硬結を触知する場合は癌を疑う。
❷生検を行っても高分化癌,上皮内癌,異形成の鑑別が困難な場合もある。
確定診断がつかないとき試みること
【1】診断と治療を兼ねて切除生検を施行することを勧める。
【2】同意が得られない場合は月に1回程度