[Ⅰ]膀胱炎
診断のポイント
【1】女性。
【2】頻尿,排尿痛,残尿感,恥骨上部痛。
【3】尿検査:膿尿・細菌尿。
症候の診かた
【1】発熱がない,全身状態は良好。
【2】再発性・難治性では複雑性尿路感染症を疑う。
【3】男性の場合は複雑性尿路感染症として扱う。
検査所見とその読みかた
【1】尿検査:膿尿・細菌尿を認めるが,血尿を伴うこともまれではない。
【2】女性の場合,中間尿には,腟や外陰部からの白血球・細菌が混入している場合がある(コンタミネーション)。必要に応じてネラトンカテーテルによる導尿で尿検体を採取する。
確定診断の決め手
【1】尿検査:尿沈渣>5WBCs/HPF,フローサイトメトリー>10WBCs/μL。
【2】尿培養:生菌数>105CFU/mL。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】過活動膀胱(→)
❶尿検査正常。
❷排尿痛,恥骨上部痛を認めない。
❸長期(慢性)の病歴。
【2】間質性膀胱炎(→)
❶尿検査正常。
❷蓄尿時痛が強く,排尿後は痛みの緩和。
❸長期(慢性)の病歴。
【3】細菌性腟炎
❶尿検査正常(導尿で採取した場合)。
❷排尿後会陰部痛,帯下の増加。
❸慢性・難治性。
確定診断がつかないとき試みること
【1】尿培養・薬剤感受性試験。
【2】腹部超音波など画像診断による複雑性尿路感染症の鑑別。
【3】専門医に紹介。
予後判定の基準
【1】閉経後女性,糖尿病患者などの膀胱炎は治癒率が低く再発率が高い。
【2】抗菌薬の頻繁な投与歴のある患者は再発性・難治性である可能性が高い。
治療法ワンポイント・メモ
【1】Escherichia coliを中心とするグラム陰性菌におけるキノロン耐性株および基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生株の割合が年々増加する傾向にあるため,キノロン系抗菌薬の使用は抑制していくべきである。
【2】尿検査でグラム陰性菌と確認できる場合にはセフェム系抗菌薬,またはβ-ラクタマーゼ阻害薬(B
関連リンク
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