診療支援
診断

水腎症
Hydronephrosis
小村 和正
(大阪医科大学講師・泌尿器外科学教室)

診断のポイント

【1】患側の腰痛がみられることが多い。特に肋骨脊柱角(CVA)叩打痛は重要な所見である。

【2】超音波検査,CTが診断に有用である。

【3】両側性に発症している場合,あるいはすでに片側腎臓摘出をされている症例では,腎機能の急激な悪化に注意を要する。

【4】先天性の場合もある。

緊急対応の判断基準

【1】明らかな乏尿を認め,両側性もしくは単腎症例で水腎症を認める場合は,腎後性腎不全となる可能性が高く,泌尿器科へのコンサルトを検討する。

【2】急な発熱と炎症反応高値,水腎症とCVA叩打痛は急性腎盂腎炎を疑い,泌尿器科へコンサルトを検討する。

症候の診かた

【1】無尿,乏尿:両側の場合,あるいは単腎における水腎症の場合は無尿,乏尿を認めることが多い。血清クレアチニン値を測定し,必要に応じて泌尿器科へコンサルトする。

【2】腰痛,腹痛:尿路結石による疝痛発作などに併発してみられることが多く,発熱がなければ,鎮痛薬で対処する。

【3】発熱と水腎症を併発し,患側のCVA叩打痛が顕著な場合は,尿路の閉塞による急性腎盂腎炎を疑う。

検査所見とその読みかた

【1】超音波検査

❶腎盂領域(通常腎実質より低エコー)の拡張がみられる。

❷腎囊胞,特に傍腎盂囊胞との鑑別が難しいことがあり,CTで確認する。

【2】腎尿管膀胱部単純撮影(KUB)

❶尿路結石の存在の診断に有用である。

❷ただし,20~30%の尿路結石はX線透過性結石であるため,KUBで診断できない。

❸CTはすべての結石を検出でき,必要に応じてKUBに併せて施行する。

【3】CT

❶単純CT:水腎症の程度,尿路結石の有無の診断で最も診断価値が高い。

❷造影CT:交差血管の有無や腫瘍性病変の確認にも有用である。

【4】MRI

❶MR urographyが閉塞部位の特定や原因検索に有用である。

❷特に小児においてはX線被曝がないため,超音波検査についで用いられる。

【5】レノ

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