診療支援
診断

腎腫瘍(腎細胞癌)
††
Renal Cell Carcinoma
冨田 善彦
(新潟大学教授・腎泌尿器病態学分野分子腫瘍学分野)

診断のポイント

 淡明細胞癌の多くでVHL遺伝子の異常を伴い,転写因子HIF-1αの細胞内蓄積を引き起こすため血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をはじめとした低酸素誘導分子の発現が高くなる。その結果,血管の豊富な腫瘍を形成するに至る。淡明細胞癌についで多いものが乳頭状癌であり,淡明細胞癌と異なり血管の増生をみることはまれである。

【1】古典的3主徴として,腹部腫瘤,血尿,疼痛があったが,現在ではこの3つが認められる症例はごくまれである。無症状で腹部超音波検査やCTなどで偶然発見される場合が70%以上である。

【2】腎に発生する充実性腫瘍の場合,まず悪性腫瘍を考える。囊胞性病変でも隔壁や充実性部分が存在する場合には悪性腫瘍として扱う。

【3】腎細胞癌の80%以上を占める淡明細胞癌の場合,ダイナミックCTの皮髄相で不均一に造影され,実質相で正常腎実質より先に造影効果が消失する球形の腫瘍を認める。偽被膜も

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