診断のポイント
【1】両側陰囊内に精巣がそれぞれ触知できなければ停留精巣と診断する。停留精巣の約80%は触知可能であり,約20%が両側性である。
【2】出生時より,包皮が一部剝けていて亀頭が露出し外尿道口が見える場合,または外尿道口が亀頭以外に見える場合などは広義の尿道下裂と診断する。
【3】停留精巣と高度尿道下裂が合併している場合や性別判断が困難である場合は,性分化疾患(disorder of sex development:DSD)の可能性を考慮する。
緊急対応の判断基準
【1】出生時に性別判定困難であるような場合は,すみやかに小児内分泌科専門機関へ紹介することが望ましい。
【2】新生児DSD症例のなかで,外陰部の色素沈着が高度であるような場合は,副腎皮質過形成のようにステロイド補充療法が必要な症例もあるため,早期のスクリーニングを要する(図1図)。
症候の診かた
停留精巣と外性器異常は,基本的に触視診で診断できる。
【1】精巣と陰囊
❶精巣には精巣挙筋が付いているため,啼泣や急な触診で挙上すること,陰囊は体温によってサイズが異なることなどを考慮する。
❷触診は温めた手を用いて,腹部側から開始し,鼠径部から陰囊へと進める。
❸精巣が触知できたら,陰囊底部まで楽に下降できるかを確認する。
❹鼠径部の触知は,石鹼やゼリーなどを用いて滑りやすくすると容易になる場合がある。
【2】陰茎
❶包茎である状態が正常であり,亀頭は包皮に覆われている。生後6か月未満で包皮を剝いて亀頭が露出できる確率は5%未満である。何もしない状態で亀頭部が露出していることはない。
❷陰茎の診察は包皮を根部に軽度伸展させ,弯曲の有無などを診る。この際,無理に亀頭を露出する必要はない。
❸伸展時の陰茎長は20mm以上が正常である。正常であれば,陰茎と陰囊の縫線は一直線である。
検査所見とその読みかた
【1】触視診にて触知可能な停留精巣と診断が