診断のポイント
【1】勃起障害(erectile dysfunction:ED),射精障害,性欲障害,快感障害がある。
【2】EDは「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか,維持できない状態」と定義されている(日本泌尿器科学会:ED診療ガイドライン,第3版)。
【3】EDの有病率は加齢とともに上昇する。
【4】低テストステロン血症でもEDを生じうる。
症候の診かた
【1】ED症状の発現時期やその経緯を詳細に把握する。
【2】加齢に加えて糖尿病,肥満,心血管疾患,高血圧,喫煙,うつ症状,下部尿路症状/前立腺肥大症,不妊症,薬剤などは危険因子である。
【3】危険因子に関連する一般的な既往歴に加えて,性欲,射精に関する状態,これまでの治療歴について確認する。
【4】特定のパートナーに限った症状かどうかを確認する。
【5】性行為における状態についてはsexual health inventory for men(SHIM,表1図)を用いる。5~7点:重症,8~11点:中等症,12~16点:軽度-中等症,17~21点:軽度のEDと判断される。
【6】陰茎の勃起硬度については勃起の硬さスケール〔erection hardness score(EHS,表2図)〕を用いてスコア化する。
【7】恥毛が少なく,精巣が萎縮している場合は,性腺機能低下症(低テストステロン血症)を疑う。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査
❶メタボリック因子であるコレステロール,中性脂肪,血糖値や腎機能,肝機能の確認を行う。
❷性腺機能低下症が疑われる場合は,テストステロンなどホルモン検査を追加する。
【2】生理的機能検査
❶2つのループを陰茎の冠状溝部と根部に装着し,持続的に陰茎周径,および陰茎硬度をRigiScan® Plusで測定することがある。
❷視聴覚性的刺激で最大陰茎硬度70%以上を正常とすることが多い。
【3】プロスタグランジン