診療支援
診断

■産婦人科領域の最近の動向
亀井 良政
(埼玉医科大学教授・産婦人科)


 産婦人科領域における2018~2019年の診療にはいくつかの注目すべき変化があった。まず,婦人科腫瘍分野では,遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)患者に対する維持化学療法の導入である。ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるオラパリブは当初,HBOC発症の原因遺伝子であるBRCAに病的変異を有する卵巣癌でプラチナ感受性再発症例に対する治療薬として開発された。その後,BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対して,プラチナを含む初回化学療法を実施し,奏効が確認できれば,オラパリブによる維持療法を実施することが有効であるとする報告があり,今後はわが国でもオラパリブの適応を判断するコンパニオン診断として,BRCA遺伝学的検査を実施することになると考えられる。ただし,その検査に際しては患者の血縁者に対しても心理社会的影響

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