診断のポイント
【1】比較的若年(20~30歳台)の女性(前駆病変)。
【2】子宮癌検診での細胞診異常(前駆病変)。
【3】性交時出血,性交痛,悪臭帯下(子宮頸癌)。
【4】多産,喫煙,複数の性交相手。
緊急対応の判断基準
高度の貧血:子宮頸癌で過剰な出血があれば輸血が必要。
症候の診かた
【1】出血
❶ある程度進行した病変でみられる(子宮頸癌)。
❷初期の病変(前期病変)では無症候のことが多い。
【2】帯下・性交痛:これらの症状もある程度進行した病変にならないとみられない。
検査所見とその読みかた
【1】子宮頸部(腟部)細胞診
❶子宮腟部の扁平円柱上皮境界(squamocolumnar junction:SCJ)を含む領域をブラシやヘラで擦過し細胞を採取する。閉経後にはSCJが頸管内側に移行していることが多いので擦過する部位に注意する。
❷細胞診の評価はベセスダ分類(表1図)による。
【2】ヒトパピローマウイルス(HPV)検査
❶細胞診との併用検診や,1次検診でASC-USのときに施行することがある。
❷ハイリスクHPVが陽性であればコルポスコピー・生検を行う。
❸保険適用で行うハイリスクHPV検査には施設基準があり届出が必要となる。
【3】コルポスコピー
❶コルポスコープ(腟拡大鏡)で子宮頸部の状態を観察かつ生検を行う。異常所見のある部位を狙って生検鉗子を用いて生検する。
❷SCJが奥まって見えないときには頸管内搔爬生検を行う。
【4】内診:子宮頸部病変の広がりを確認する。主に傍子宮組織への浸潤の有無・程度をみる。
確定診断の決め手
【1】細胞診で検出され,コルポスコピー下生検で診断される(前癌病変)。
【2】病理学的に間質浸潤があれば子宮頸癌の診断となる。
【3】進行した子宮頸癌では,内診や体の表面から触れることのできるリンパ節(首の周囲や鼠径部)の状況,そしてX線検査やCT,MRIなどの検査の結果で進行期が決定される