診療支援
診断

流産と不育症
Miscarriage and Recurrent Pregnancy Loss
永松 健
(東京大学大学院准教授・産婦人科学)

診断のポイント

【1】流産

❶妊娠週数に比して血清・尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG値)が低い。

❷超音波所見の経時的変化がない,もしくは胎児心拍が消失。

【2】不育症

❶不育症は,繰り返しの妊娠の不成功のため健児を得られない状態を指す。

❷不育症のなかで,流産の繰り返しが2回の場合を反復流産,3回以上の場合を習慣流産とよぶ。

症候の診かた

【1】流産

❶出血

妊娠12週未満の流産では先に胚・胎児の発育が停止し,そのあとに妊娠組織の自然排出が生じる状況で出血が生じる場合が多い。

妊娠12週以降では妊娠が継続している状態で感染,子宮頸管無力症,絨毛膜下血腫などの原因により子宮収縮,子宮口開大が生じて出血を伴う場合もある。

❷下腹痛:流産に伴う子宮収縮,妊娠組織の排出により下腹部痛が生じることが多い。

【2】不育症

❶抑うつ・不安:妊娠の不成功の繰り返しによりカップルに抑うつ・不安が生じることが多い。

検査所見とそ

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