診療支援
診断

胎児機能不全(fetal well-beingの評価法)
Non-reassuring Fetal Status (NRFS)
藤森 敬也
(福島県立医科大学教授・産科・婦人科学講座)

診断のポイント

 以下の存在に伴って診断されることが多いので注意する。

【1】母体合併症:妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,過期妊娠,抗リン脂質抗体症候群,心疾患など。

【2】胎児因子:胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR),多胎妊娠,双胎間輸血症候群など。

【3】胎盤因子:絨毛膜羊膜炎,常位胎盤早期剝離,前置胎盤など。

【4】臍帯因子:臍帯脱出,臍帯真結節,臍帯辺縁付着,臍帯多重巻絡,臍帯圧迫(羊水過少)など。

【5】子宮因子:過強陣痛,子宮破裂,羊水過少など。

症候の診かた

【1】胎児機能不全(NRFS)とは,妊娠中あるいは分娩中に胎児の状態を評価する臨床検査において「正常ではない所見」が存在し,胎児が健康であることに確信がもてない場合をいう。

【2】胎児well-being評価法を用いても胎児状態が良好である(reassuring fetal status)ことを確認できない状態である。胎児状態が悪化している場合ももちろんあるが,すべての例で胎児状態が悪化しているわけではない。

検査所見とその読みかた

【1】胎児成長:胎児状態が良好(well-being)であるという最も簡単な証明は,子宮内で胎児が正常に成長しているということである。

❶子宮内環境が良好であれば胎児成長は良好であるが,子宮内環境が悪化してくると胎児成長や羊水量に影響が及ぶ。

❷FGRや羊水過少を認める場合はNRFSとなりやすいので,妊婦検診時には注意が必要である。

【2】胎児well-beingの評価法:表1に示すように,胎児心拍数モニタリングやBPS(biophysical profile score)といった胎児well-beingの評価法は,偽陰性率はきわめて低いが,偽陽性率は非常に高いことが特徴である。以下にそれぞれの評価法について述べる。

❶胎児心拍数モニタリング

NST(non stre

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