診断のポイント
【1】羊水量は,胎児尿産生+肺胞液分泌による増加と嚥下に伴う現象のバランスで決まり,通常は適切な量にコントロールされている。
【2】羊水過少は前期破水で起こりうる。
【3】羊水過少,羊水過多は胎児異常,染色体異常,胎児発育遅延によって起こりうる。
【4】羊水過少と羊水過多は周産期異常に密接に関連するため,妊娠中の超音波スクリーニング検査を行う場合,羊水量について気をつける必要がある。
緊急対応の判断基準
羊水過少,特に羊水が全く認められない場合,迅速な原因診断が必要である。
症候の診かた
羊水量は,基本的に超音波断層法での診断となる。
検査所見とその読みかた
【1】羊水量の半定量的評価
❶最大羊水深度法:最大羊水深度〔SDP(single deepest pocket),MVP(maximum vertical pocket),largest vertical pocket〕とは,最大の羊水ポケットを見つけたあとに臍帯や胎児部分を含まない羊水腔の垂線の距離。横径は最低1cm以上の羊水腔が必要とされている。
■羊水過少:深度<2cm
■正常羊水量:2cm≦深度<8cm
■羊水過多:8cm≦深度
❷羊水インデックス法:羊水インデックス(amniotic fluid index:AFI)とは,妊娠子宮を4分割し,SDP(cm)をそれぞれで計測し加えたもの。
■羊水過少:AFI≦5cm
■正常:5cm<AFI<24cm
■羊水過多:24cm≦AFI
【2】破水の検査
❶腟内分泌物のpH:BTBテスト,nitrazineテスト。
❷羊水特異的物質の検査:AFP,IGFBP-1,PAMG-1など。
❸超音波断層法での羊水過少の診断。
確定診断の決め手
侵襲的に羊水中に色素を注入して採取して希釈法にて定量することや,腟内に流出する色素にて破水を確定する方法があるが,通常は侵襲的な方法をとることはない。