胎児奇形あるいは先天異常の定義には,形態異常・機能異常に加えて胎生期の環境など外的要因まですべてを含むとする考え方もあるが,ここではICD-11の第20章で挙げられている「先天奇形,変形および染色体異常」を扱う。
診断のポイント
【1】超音波検査により胎児の形態異常を丹念に探り,複数の徴候から疑われる先天異常症候群を絞りこんでいく。
【2】確定診断のために胎児CTや胎児MRIといった画像診断や羊水染色体検査を行う。
【3】必要に応じてマイクロアレイ染色体検査や全エクソン検査といった網羅的遺伝子検査に進む。
【4】従来外因によるものと考えられてきた局所の病変も,遺伝子異常であることが明らかになってきている。遺伝子異常家族歴や妊娠分娩歴の丁寧な聴取は診断の役に立つことが多い。家族歴を正確に把握するためには家系図を作成することも必要である。
症候の診かた
【1】出生後の奇形徴候の用語やその定義
❶米国人類遺伝