診断のポイント
【1】膜性診断。
【2】推定胎児体重。
【3】羊水量。
【4】子宮頸管長。
症候の診かた
【1】切迫流産・早産:最も多い合併症であり,自覚症状と他覚所見(子宮頸管長や内診所見)に注意する。
【2】胎児発育不全:推定胎児体重の推移に注意する。
【3】羊水量:羊水過多や過少を認めた場合は,双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusion syndrome:TTTS)を疑う。
【4】妊娠高血圧症候群の合併に注意する。
検査所見とその読みかた
【1】膜性診断
❶妊娠8週以前では羊膜の描出が不明瞭であり,妊娠14週以降では絨毛膜数の確認が不明瞭となり診断が不正確となる。そのため妊娠8~10週までが膜性診断に適している。
❷分離した胎囊間に絨毛組織像を認める場合は二絨毛膜で,胎囊が分離せず絨毛膜が複数の胎児周囲を滑らかに取り囲んでいる場合は一絨毛膜である(図1図)。
【2】推定体重
❶一絨毛膜双胎で,小さい児の推定体重が-1.5SD未満もしくは両児間の推定体重に25%以上の差がある場合に重症胎児発育不全を伴う一絨毛膜双胎(selective intrauterine growth restriction:selective IUGR)と診断される。
❷二絨毛膜双胎でも推定体重が-1.5SD未満であれば胎児発育不全として管理する。
【3】羊水量:一絨毛膜双胎で,一児の最大羊水深度が2cm以下,かつ,他児の最大羊水深度が8cm以上であればTTTSと診断する。
確定診断の決め手
【1】二絨毛膜双胎の場合,2つの羊膜の間に入り込んだ絨毛膜を認める(ラムダサイン,ツインピークサイン)。
【2】Selective IUGRやTTTSは一絨毛膜双胎であることが前提である。
【3】妊娠16週以降で,一方の児の最大羊水深度が8cm以上(妊娠26週以降は10cm以上),かつ,他方の児の最大羊水深度が2cm以下の場