診断のポイント
【1】2歳以下の不明熱。
【2】幼児期以降の発熱に伴う腰背部痛や意識障害。
【3】排尿異常(尿勢低下,尿線途絶,排尿痛)。
症候の診かた
【1】発熱
❶上部尿路感染症(UTI):必発であるが,39℃を超えないこともある。
❷下部UTI単独:発熱はない。
【2】疼痛
❶上部UTI:幼児期以降は腹痛,腰背部痛,叩打痛,恥骨上部圧痛を訴える。上部UTIの特殊型である急性巣状細菌性腎炎では,意識障害を伴う高熱で発症することがある。
❷下部UTI:排尿痛や頻尿がある。
【3】その他
❶乳児の上部UTI:不機嫌,哺乳不良,嘔吐を伴うが,けいれん,大泉門膨隆,発疹はない。
❷排尿自立以降の下部UTI:膀胱刺激症状に加えて,尿失禁と便秘が診断の参考になる。
検査所見とその読みかた
【1】尿検査
❶カテーテル尿か中間尿を材料とする。
❷尿試験紙で白血球反応と亜硝酸塩の両方が陽性の場合は,UTIの診断が可能である(尤度比 25