診療支援
診断

染色体異常症
Chromosome Abnormality
黒澤 健司
(神奈川県立こども医療センター・遺伝科部長)

診断のポイント

【1】複数の先天奇形(多発奇形)。

【2】顔貌異常。

【3】成長障害。

【4】精神運動発達遅滞。

症候の診かた

【1】転座保因者を別にすると精神遅滞や多発奇形,成長障害などがポイントとして挙げられる。

【2】不育症・習慣流産では均衡型相互転座保因者が疑われる。

【3】染色体微細構造異常に由来する症候群では,特徴的顔貌や行動特性,奇形の組み合わせも念頭におく。

【4】こうした症状の由来は,量的効果(欠失,過剰),再構成による遺伝子切断がもたらす効果,染色体の親由来による効果(genomic imprinting),位置的効果などによる。

検査所見とその読みかた

【1】末梢血リンパ球でのG分染法

❶観察可能な解像度は,550バンドレベルの場合,理論的には約5Mbまでの染色体再構成を検出できる。

❷しかし,実際には白バンド同士などの転座の確認は難しく,領域によっても検出困難である。

❸最終的に1バンド単位での伸び縮みの判断は検査担当者の経験と判断による。

【2】FISH法:既知症候群で,G分染法で検出できないが,FISH法で診断可能な疾患が多く知られている。しかし,FISH法で確定診断が得られるのが,その疾患全体のどれくらいの割合であるかは念頭におく。

確定診断の決め手

【1】検出された染色体異常が,実際の症状と整合性があるか慎重に検討する。

【2】不均衡型転座では,由来染色体も明らかにする必要があり,両親の染色体検査も適応となる。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】染色体の観察は,少なくとも20細胞で行うが,低頻度モザイクは検出できないことがある。20細胞中1細胞に数的異常が認められたら,さらに10あるいは30細胞を観察する。同じ異常が2細胞以上にあれば真のモザイクと判定する。

【2】9番染色体トリソミーモザイクは,数%の低頻度モザイクであることが少なくなく,臨床症状からある程度予想をつけて解析を

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