診断のポイント
【1】新生児マススクリーニングで17-ヒドロキシプロゲステロン(OHP)高値。
【2】女児の外性器異常(図1図):46,XX 女児で外性器の男性化(陰核肥大,陰唇癒合,共通生殖洞など)。
【3】皮膚色素沈着:乳輪,外陰部,腋窩に強い。
【4】副腎機能不全:哺乳力低下,嘔吐,ショック,低ナトリウム(Na)血症,高カリウム(K)血症。
【5】性早熟(男児)・男性化(女児):非古典型(軽症型)では学童期以降にみられる場合がある。
緊急対応の判断基準
ストレス時〔発熱性疾患(>38.5℃),脱水を伴う胃腸炎,全身麻酔を伴う手術,大規模な外傷など〕に維持量の3倍程度のグルココルチコイドが必要となる。増量しなければ,重篤な急性副腎不全(副腎クリーゼ;哺乳力低下,嘔吐,ショック,低血糖,低Na血症,高K血症)をきたす。
症候の診かた
【1】出生時の外性器異常
❶46,XX 女児では胎児期の過剰なアンドロゲン曝露による陰核肥大,陰唇癒合,共通生殖洞など外性器の男性化を認める。
❷46,XY 男児では外性器の異常を認めない。
【2】皮膚色素沈着:副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌過剰に伴うメラノサイト刺激ホルモンの過剰により,全身の色素沈着を認める。特に乳輪,外陰部,腋窩に著明である。
【3】副腎不全
❶哺乳力低下,体重増加不良,頻回の嘔吐,脱水,意識障害,ショック状態などを呈する。
❷低Na血症,高K血症(塩喪失型),低血糖をきたすことがあり,放置すると突然死する場合もある。
【4】新生児・乳児期に上記の症状が認められない症例もある。
❶成長とともに男性ホルモン過剰の症状,男児では思春期早発症,女児では髭などの男性化症状をきたす場合がある。
❷非古典型(軽症型)ではまれに新生児マススクリーニングで17-OHPの上昇を認めないこともある。
検査所見とその読みかた
【1】マススクリーニング検査:17-OHPの高値
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験〔TRH負荷試験〕 [保] 1,200点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/プロラクチン〔PRL〕 [小][保] 98点
- 臨床検査データブック 2023-2024/デヒドロエピアンドロステロン〔DHEA〕,デヒドロエピアンドロステロンサルフェート〔DHEA-S〕 [保]* 169点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/プレグナンジオール〔P2〕 [保] 213点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイロキシン〔T4〕《チロキシン》 [小][保] 108点
- 臨床検査データブック 2023-2024/プロゲステロン〔P4〕 [保] 151点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/テストステロン [保] 122点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/フリーテストステロン《遊離テストステロン》 [保] 159点(包)
- 今日の診断指針 第8版/Bartter症候群/Gitelman症候群
- 今日の小児治療指針 第17版/副甲状腺機能低下症
- 今日の診断指針 第8版/Addison病