診療支援
診断

先天性副腎皮質過形成〔21-水酸化酵素欠損症(21-OHD)を中心に〕
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Congenital Adrenal Hyperplasia (CAH)
神崎 晋
(旭川荘療育・医療センター・院長代理/川崎医科大学総合医療センター・特任教授)

診断のポイント

【1】新生児マススクリーニングで17-ヒドロキシプロゲステロン(OHP)高値。

【2】女児の外性器異常(図1):46,XX 女児で外性器の男性化(陰核肥大,陰唇癒合,共通生殖洞など)。

【3】皮膚色素沈着:乳輪,外陰部,腋窩に強い。

【4】副腎機能不全:哺乳力低下,嘔吐,ショック,低ナトリウム(Na)血症,高カリウム(K)血症。

【5】性早熟(男児)・男性化(女児):非古典型(軽症型)では学童期以降にみられる場合がある。

緊急対応の判断基準

 ストレス時〔発熱性疾患(>38.5℃),脱水を伴う胃腸炎,全身麻酔を伴う手術,大規模な外傷など〕に維持量の3倍程度のグルココルチコイドが必要となる。増量しなければ,重篤な急性副腎不全(副腎クリーゼ;哺乳力低下,嘔吐,ショック,低血糖,低Na血症,高K血症)をきたす。

症候の診かた

【1】出生時の外性器異常

❶46,XX 女児では胎児期の過剰なアンドロゲン曝露による陰核肥大,陰唇癒合,共通生殖洞など外性器の男性化を認める。

❷46,XY 男児では外性器の異常を認めない。

【2】皮膚色素沈着:副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌過剰に伴うメラノサイト刺激ホルモンの過剰により,全身の色素沈着を認める。特に乳輪,外陰部,腋窩に著明である。

【3】副腎不全

❶哺乳力低下,体重増加不良,頻回の嘔吐,脱水,意識障害,ショック状態などを呈する。

❷低Na血症,高K血症(塩喪失型),低血糖をきたすことがあり,放置すると突然死する場合もある。

【4】新生児・乳児期に上記の症状が認められない症例もある。

❶成長とともに男性ホルモン過剰の症状,男児では思春期早発症,女児では髭などの男性化症状をきたす場合がある。

❷非古典型(軽症型)ではまれに新生児マススクリーニングで17-OHPの上昇を認めないこともある。

検査所見とその読みかた

【1】マススクリーニング検査:17-OHPの高値

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