診療支援
診断

川崎病
Kawasaki Disease
阿部 百合子
(日本大学小児科学)

診断のポイント

【1】乳幼児に好発する。

【2】特徴的な症状に基づいて診断する。

【3】第10病日までに解熱できるよう早期の診断と治療開始に努める。

症候の診かた

【1】4歳以下,特に1歳前後の乳幼児に好発する全身の血管炎症候群である。現在でも原因は不明で,特徴的症状に基づき,症候群として診断される。

【2】主要症状(表1)

❶発熱

通常は発熱が初発症状で,38.5℃以上が多い。

抗菌薬が無効で原因不明の発熱は,川崎病を強く疑う。

最近は早期治療を勧めるため,診断のために5日間待つ必要はない。

❷両側眼球結膜の充血

両側の眼球が同時に充血すること,眼脂はないか,あっても白色で少量であることが特徴である。

一時的に両眼球結膜が軽度のピンク色に充血するのみのこともあるが,典型的な場合は,結膜全体が赤色に充血する。

❸口唇,口腔所見

口唇:全体的に発赤して,やや腫脹を認める。所見の強い例では,亀裂して出血を伴い,痂皮化することもある。

舌:全体的に発赤腫脹し,舌乳頭の肥大が起こるため,いちご舌の所見が認められる。

口腔粘膜:全体的に発赤するが,びらんや潰瘍は形成せず,扁桃に白苔は付着しない。

❹発疹(BCG接種痕の発赤を含む)

最も多いのは,大小不同で部分的に癒合する紅斑である。

どのような発疹でも主要症状として扱うが,水疱はまれである。

皮膚粘膜移行部に多く出現するため,臍周囲,尿道口,肛門周囲などがよく観察できるように,診察時には衣服とおむつをすべて脱がせて視診を行う。

❺四肢末端の変化

急性期:手掌と足底の発赤と硬性浮腫を認める。硬性浮腫は指圧痕を残さずパンパンに腫れ,光沢が出るほどに皮膚が腫脹してテカテカした状態となる。程度の軽い例では,指先の発赤のみのこともある。

回復期:腫れがひいて指尖部と爪床の境界から乾燥した皮膚が指の形に沿って浮き上がるように剝離してくる「膜様落屑」を認める。

❻急性

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