診療支援
診断

小児筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群
Pediatric Myalgic Encephalomyelitis (ME)/Chronic Fatigue Syndrome (CFS)
田島 世貴
(国立障害者リハビリテーションセンター病院第3診療部小児科)

診断のポイント

 診断基準を表12に示す。

【1】思春期前後に発症することが多い。

【2】思春期前では性差を認めないが,思春期以降,女性の罹患が多い。

【3】インフルエンザなどの急性感染症・オーバートレーニング・睡眠不足などの生物学的ストレス,温熱などの物理的ストレス,対人関係などの社会的ストレスといったさまざまなストレッサーが契機となりうるが,原因不明の場合もある。

症候の診かた

【1】筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と判断すべき日常生活への支障の程度は,週に1日以上,登校など社会活動に参加できないほど倦怠感が強いことを目安にする。

【2】筋力低下,睡眠異常,圧痛点,認知機能,起立不耐症,微熱については,理学所見もしくは既存の評価を用いて機能障害や異常を客観的に確認することが必要である。

検査所見とその読みかた

【1】血算,一般生化学検査,血沈などにより疲労状態を伴う器質的疾患を除外することが前提である。

【2】生体時計機構の破綻を起点とした神経炎症が関連した病態と考えられているが,一般診療で実施可能な生体時計機構および神経炎症評価系がないため,以下の検査から診断基準に含まれる症状の重症度を客観的に評価することが提唱されている。

❶睡眠・活動量評価

自記式睡眠日誌上の不安定な睡眠覚醒リズムは,ME/CFSを支持する所見の1つである。

アクチグラフィ睡眠評価において,総睡眠時間の延長,中途覚醒の増加,睡眠中平均活動量の増加,覚醒時平均活動量の低下,居眠り回数の増加などがあれば,ME/CFSを支持する。

❷自律神経機能評価

十分な安静(5分程度が目安)ののちに心電図もしくは脈波計を用いて5分間の心拍もしくは脈拍を計測し,周波数領域心拍変動解析を行う。

低周波成分/高周波成分(LFC/HFC)比(自律神経活動の1指標)が3を超える場合,疲労回復の悪さが示唆され,ME/CFSの可能性

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?