診療支援
診断

ガングリオン
Ganglion
小林 由香
(東海大学講師・外科学系整形外科学)

診断のポイント

【1】幅広い年齢層に発生する。

【2】弾性のある腫瘤。

【3】好発部位は,手関節背側,手関節掌側橈骨動脈の深部,屈筋腱腱鞘(手掌部の指基部)である。

【4】ほかの手の病態と合併して生じる,Heberden結節〔遠位指節間(DIP)関節の変形に伴う指背側の粘液囊腫〕,carpal boss〔第2と第3手根中手(CM)関節の骨棘に伴う手関節背側のガングリオン〕,de Quervain病(母指の狭窄性伸筋腱炎に伴う手関節橈側のガングリオン)などがある。

症候の診かた

【1】多くは無症状だが,発生部位によっては正中神経や尺骨神経を圧迫して症状が生じることがある。

【2】手関節背側に発生することが多く,主な囊胞は舟状月状靱帯の直上に存在するが,靱帯とつながった長い茎のある囊胞は伸筋腱の間から生じる(図1)。

【3】手関節掌側の囊胞は,橈骨手根関節の靱帯から生じるため,橈骨動脈と隣接していることがある。

【4】手掌の中手指節間(MP)関節の囊胞は,米粒大,硬く,時に圧痛があり,手を突くと痛がる。囊胞は腱鞘と付着しているため,腱を滑走させても動かない。指神経と隣接している。

検査所見とその読みかた

【1】手関節X線写真:通常,所見はない。DIP関節やCM関節の疾患に合併した囊胞では関節症性変化を認める。

【2】超音波検査:無~低エコー(図2)。

【3】MRI:T1強調画像は低信号,T2強調画像は高信号(図3)。

【4】表在性のものは光を当てると透光性がある(図4)。

確定診断の決め手

 穿刺で粘稠度の高い,ゼリー状内容物を吸引する。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】狭窄性腱鞘炎:手掌MP関節に発生。

❶軽度の疼痛や圧痛を伴う。

❷既往に指の弾発現象がある。

❸透光性がない。

【2】腱鞘巨細胞腫:手指に発生。

❶疼痛はない。

❷硬い腫瘤。

❸透光性がない。

確定診断がつかないとき試みること

 画像で診断がつかな

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?