診療支援
診断

外鼠径ヘルニア
Indirect Inguinal Hernia
和田 則仁
(慶應義塾大学専任講師・一般・消化器外科)

診断のポイント

【1】60歳以上の男性に多い。

【2】立位や腹圧をかけると膨隆し,仰臥位で消失する。

【3】必ずしも鼠径部痛を伴わない。

【4】画像診断で下腹壁動静脈の外側にヘルニア門が認められる。

【5】対側の合併も見逃さないようにする。

緊急対応の判断基準

【1】非還納性ヘルニアのうち,嵌頓(急性症状あり),絞扼性(血流障害あり)は緊急手術の適応である。

【2】絞扼性が疑われる非還納性ヘルニアを還納した場合,入院経過観察とする。

症候の診かた

【1】鼠径部膨隆(図12):診察は立位で行う。膨隆は咳嗽で増大し,圧迫で縮小する。

【2】指診

❶還納後に陰囊側から皮下に示指を挿入することで外鼠径輪を明瞭に触知できる。鼠径管内の状態を把握できることもある。

❷乳幼児では,鼠径部でヘルニア囊の擦れる感覚をsilk signという。

【3】自覚症状

❶無症状のこともある。

❷歩行や腹圧により鼠径部違和感,鼠径部痛を生じうる

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