診療支援
診断

精索捻転症
Testicular Torsion
大野 芳正
(東京医科大学主任教授・泌尿器科)

診断のポイント

【1】思春期,ピークは13~14歳。

【2】突然の激しい陰囊痛。

【3】精巣の横位・挙上。

【4】精巣挙筋反射の消失。

【5】精巣内の血流消失もしくは減弱。

症候の診かた

【1】疼痛:突然に発症する激しい陰囊痛を訴えることが多い。

❶最初に鼠径部痛や下腹部痛を訴える場合もある。

❷悪心・嘔吐を伴うことがある。

【2】発熱:微熱を認めることはあっても,高熱を呈することはまれである。

【3】精巣:精巣が横位で挙上している場合は捻転を疑う(感度83%,特異度90~94%)。患側精巣は腫脹を伴い,対側精巣より大きい。

【4】精巣挙筋反射:約90%で消失している。

検査所見とその読みかた

【1】血液生化学検査・尿検査:白血球数の上昇の頻度は18.2%,尿沈渣での白血球陽性は0~9.1%程度と報告されているが,非特異的である。

【2】カラードプラ超音波検査:精巣内の血流の有無を確認できる(図1)。

❶精索捻転症の診断における感度63.6~100%,特異度97~100%,陽性的中率100%,陰性的中率97.5%と報告されている。

❷精索内の捻転部位も描出可能である(図2)。

確定診断の決め手

【1】突然に発症する激しい陰囊痛。

【2】精巣の横位・挙上。

【3】精巣挙筋反射の消失。

【4】カラードプラ超音波検査による精巣内の血流消失もしくは減弱。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】精巣上体炎

❶発熱を伴うことが多い(白血球数増加)。

❷精巣上体の血流増強。

❸精巣挙筋反射あり。

【2】付属小体捻転症

❶精巣に異常なく血流も保たれる。

❷精巣挙筋反射あり。

確定診断がつかないとき試みること

【1】早急に患側陰囊の試験切開を行う。

【2】精索捻転症であれば捻転を解除する。

経過観察のための検査・処置

【1】精巣が温存可能であった場合でも,術後患側精巣の萎縮を認めることが多い。

【2】術後2~3年間,年1~2回エコーで萎縮の有無を確認するの

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