診断のポイント
【1】四肢体幹など体表に触知する比較的軟らかい腫瘤。
【2】超音波検査,CT,MRIで境界明瞭な脂肪濃度の腫瘤。
症候の診かた
【1】自覚症状:症状は患者自身が発見することがほとんど。入浴時などに自身で触知したり,鏡に映ったときに隆起に気づくこともある。背部などは家人に指摘されたりマッサージで指摘されることもある(図1図)。
【2】触診所見:触診で境界明瞭でおおむね皮膚と癒着せず,表面平滑で弾性軟の腫瘤を触知すればかなりの頻度で脂肪腫である。
❶多発する血管脂肪腫は1~2cmの比較的硬い周囲境界明瞭な可動性のある腫瘤を皮下に触知する。
❷通常の脂肪腫は圧痛や自発痛はないが,血管脂肪腫はしばしば圧痛を認める。
【3】画像診断:確定診断は超音波検査,CT,MRIなどが有用である。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:超音波検査で比較的境界明瞭な被膜をもつ脂肪輝度の腫瘤を認める。
【2】CT,MRI:数cm以上の大きな腫瘤や深部の腫瘤には特に有用である。
【3】境界明瞭で内部均一な脂肪様の腫瘤を認めれば診断は容易である(図2図,図3図,図4図)。
確定診断の決め手
【1】四肢体幹の軟部腫瘤。
【2】超音波検査,CT,MRIにて特徴的所見。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】粉瘤(→):皮膚皮下腫瘍として頻度が非常に高い粉瘤が挙げられる。粉瘤は皮膚と癒着があり中央にcomedoを認める。
【2】その他の軟部腫瘍
❶神経鞘腫:境界明瞭,比較的硬い。圧痛や放散痛がある。
❷ガングリオン:手や足の関節付近に多い。硬い境界明瞭な腫瘤。腫瘤の増減を認める。
❸神経線維腫:軟らかい腫瘤で境界は不明瞭なこともある。おおむね皮膚と癒着する。
【3】悪性腫瘍(高分化型脂肪肉腫):数cm以上の大きさがあることが多い。比較的硬い腫瘤。
確定診断がつかないとき試みること
【1】脂肪肉腫など悪性腫瘍の場合は造影CTや造
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