診断のチェックポイント
黒色皮膚腫瘍の鑑別は,頻度や重要性から脂漏性角化症,基底細胞癌,色素細胞母斑,悪性黒色腫の4つが重要である。
【1】病歴
❶中高年になり同様の病変が増えてきたか(→脂漏性角化症)。
❷小病変から出血を伴うか(→基底細胞癌)。
❸幼少期から存在するか(→先天性色素細胞母斑)。
❹短期間に増大しているか(→悪性黒色腫)。
【2】身体所見
❶脂漏性角化症:境界明瞭な褐色斑(日光黒子)ないしわずかに隆起する局面,あるいは疣状病変として生じる。隆起の目立つ病変は皮膚に張りつけたような外観を示し,脂性の鱗屑・痂皮を伴う(図1図)。
❷基底細胞癌:一般的な結節型は表面に半透明感があり,潰瘍形成,毛細血管拡張,辺縁部の巻き込みを伴う。また,小病変から出血がみられる。表在型は平坦かつ不整形の黒色斑を呈する。日本人の場合,約9割が色素性であり,一部でも黒色調を示すことが多い(図2図)。
❸後天性色素細胞