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肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)
緊急処置
【1】顕性肝性脳症で意識障害を伴う場合は,気道確保,点滴ルート確保,バイタルサインの経時的な観察ができる体制をとったうえで,鑑別診断・治療にあたる。
【2】通院中で肝性脳症の既往があったり,発症リスクが予想される肝硬変患者であれば,血中アンモニア値をはじめとした血液データから診断は容易である。しかし低血糖,低ナトリウム血症,中枢神経系の疾患など他の原因のこともありうるので,肝性脳症の診断は,それら意識障害をきたす疾患を除外して慎重になされるべきである。
診断のチェックポイント
■定義
❶肝性脳症は急性および慢性肝不全・非代償性肝硬変などの肝疾患や先天性尿素サイクル異常症など代謝性疾患の経過中に,軽微なものから昏睡に至るまで,多彩な精神神経症状(意識,感情,認知,行動などの異常)をきたす重篤な症候群である。
❷最近では診断に明らかな臨床症状を呈す