緊急処置
【1】腹部膨満感が強い場合は出血や感染症,血圧低下などに注意しながら腹水穿刺排液を行う。腹部超音波検査で確認のうえ腹腔穿刺をすることが望ましい。
【2】なお,血小板数5万/μL未満やChild-Pugh分類C,アルコール性肝硬変のいずれかを認める肝硬変患者に腹水穿刺排液を行う場合は合併症の発症頻度が多い傾向にある(Clin Gastroenterol Hepatol 7: 906-909, 2009)ため,処置の際には注意が必要である。
診断のチェックポイント
■定義:腹水とは腹腔内に貯留した体液のことをいう。健常者でも数10mL程度の生理的な腹水が存在するが,肝硬変などによる門脈圧亢進症,悪性腫瘍(腹膜播種や悪性中皮腫),婦人科疾患,リンパ液漏出などにより生理的な範囲を超えて腹水が貯留して腹部膨隆などの症状を呈することがあるため,原因となる疾患を鑑別する必要がある。
【1】病歴
❶肝疾患,