頻度
あまりみない(人口10万対年間1~2人)
診断のポイント
【1】慢性肝疾患のない症例で,発熱,黄疸などの症候とともに,AST,ALTの上昇で,急性肝炎の診断。
【2】正常肝ないし肝予備能が正常の症例に急性の肝障害が生じてプロトロンビン時間(PT)が40%以下ないしはINR値1.5以上を示すものを急性肝不全と診断(表1図)。
【3】急性肝不全では,ウイルス感染以外に,自己免疫性肝炎,薬物,循環不全,悪性腫瘍の肝浸潤,代謝性疾患,術後肝不全などが成因となる。
【4】初発症状出現から昏睡出現までの期間が8週以降24週以内の場合は,類縁疾患である遅発性肝不全(LOHF:late on-set hepatic failure)と診断。
【5】アルコール性肝硬変がアルコール多飲を契機にTB 5mg/mL以上,INR 1.5以上を呈する場合は,後述するacute-on-chronic liver failure