診断のポイント

【1】下痢症患者との接触があった。

【2】海外渡航歴がある。

【3】急性の血性または粘液性下痢がある。

【4】腹痛(テネスムス)と発熱を伴う。

症候の診かた

【1】潜伏期間：1～3日(平均2日，最長8日)。

【2】典型例では大腸病変による粘液性の下痢と腹痛(テネスムス；しぶり腹)。粘液便はしばしば血性を伴うが，水様性のみで終わることもある。

【3】随伴症状：発熱，食欲不振，嘔吐，倦怠感，頭痛などで始まる。脱水の頻度は，水様性下痢を主体とする小腸病変よりも少ない。

　通常の下痢症に対する病原体検索は行わないが，本症を疑う患者においては，便培養を積極的に行うべきである。

【1】スクリーニング検査：好中球の増加・左方移動を認めることがあるが，血算・生化学検査で特異的な所見はない。合併症リスクの高い患者では，感染後1週間は溶血性貧血，血小板減少，血清クレアチニン高