[Ⅰ]クリプトスポリジウム症(cryptosporidiosis)
頻度
あまりみない
診断のポイント
【1】細胞内侵入性のクリプトスポリジウム属原虫(Cryptosporidium spp.)による十二指腸感染を原因とする下痢症である。
【2】糞便に排出される本原虫の感染性オーシストは,塩素消毒に対し高い耐性があることから,水道水・プールなどを介した集団感染が世界中で報告されてきた。
【3】人獣共通感染症であり,ふれあい牧場などでの生乳摂取,接触による糞口感染症例がある。
【4】感染症法の5類届出疾患(全数把握)である。
症候の診かた
【1】3日~2週間程度の潜伏期間を経て,激しい水様性下痢,腹痛,悪心,倦怠感を呈する。発熱は時にみられるが高熱となることは少なく,血便は認めない。
【2】健常人での病期は通常6日~2週間程度であり,自然治癒するが,免疫不全状態では再発・慢性化,さらに胆管炎・胆囊炎・膵炎,気管