診療支援
診断

硫化水素中毒
Hydrogen Sulfide Poisoning
冨岡 譲二
(米盛病院・副院長・救命救急センター長(鹿児島))

頻度

あまりみない

診断のポイント

 硫化水素が発生する代表的な状況は以下の通りである。

【1】自然界(火山・鉱山・硫黄泉・原油や天然ガスの鉱床など)。

【2】産業界(石油精製施設・天然ガス精製施設・染料工場・肥料工場など)。

【3】硫黄含有物質が嫌気性細菌によって分解される可能性のある場所(下水処理場・ゴミ処理場・浄化槽・糞便やその他の分解物の堆積場など)。

【4】無機硫化物と酸の混合(家庭内での入浴剤や農薬と酸性洗浄剤の混合事故,自殺企図)。

緊急対応の判断基準

【1】硫化水素はチトクロームcオキシダーゼを阻害することで細胞呼吸を阻害し,酸素需要の大きい中枢神経系や心臓が影響を受けるため,呼吸停止・低酸素血症・循環虚脱・けいれんなどが起こる可能性がある。

【2】これらの症状がある場合は直ちに解毒拮抗薬(後述)を使用するとともに,純酸素投与を開始し,必要に応じ,気管挿管・人工呼吸・輸液,ジアゼパムやミダゾラ

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