近年は精神科領域にも専門医制度が導入されるなど,精神科医は技能を高めることはもちろん,標準的な治療法に対する知識・情報が今まで以上に求められる時代となった.そうした状況の中,2012年2月,『今日の治療指針』シリーズの一冊として『今日の精神疾患治療指針』を出版した.臨床医が日常で遭遇しうる精神疾患とそれに関わる諸問題を網羅し,最新かつ実践的な臨床情報をまとめた内容は,多くの読者諸氏から好評いただき,編集者一同非常に喜ばしく思っている.
初版の発行から4年あまりが経過し,その間DSM-5の登場や薬剤の適応拡大など,精神医学の分野においてさまざまな変化が生じていることを踏まえ,ここに第2版を上梓する運びとなった.
第2版の編集方針は初版に準拠しているが,章立てはDSM-5での変更点などをもとに若干の変更を加えている.具体的には初版の第3章「気分障害」を「双極性障害および抑うつ障害とその関連障