診療支援
治療

統合失調症の回復・安定期
recovery/stabilizing phase in schizophrenia
加藤大慈
(戸塚西口りんどうクリニック・院長(神奈川))
平安良雄
(横浜市立大学大学院主任教授・精神医学)

◆疾患概念

【定義】

 回復期や安定期の定義は明確ではないが,急性精神病症状のあと比較的症状が軽減し安定した時期をいう.回復期は急性期から安定期への移行期であり,休息の必要性が強調されることが多い.回復期や安定期は,再発を予防しながら,社会参加を目指し自分らしい生活を作っていく時期といえる.

【病態】

 今なお病態の解明は十分になされていないが,その成因については生物学的な側面と心理社会的な側面の両者から影響を受けていると考えられ,脆弱性・ストレス・対処モデルvulnerability-stress-coping modelが統合失調症の病態モデルの1つとして位置づけられている.生物学的脆弱性については,遺伝的要因,神経発達障害,ドパミン系神経伝達異常や脳内NMDA受容体神経伝達の低下などが影響していると考えられている.特に神経発達障害に関しては,近年では胎生期や周産期だけでなく発病前後にも脳形態

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