◆疾患概念
【定義・病型】
妄想性障害は,かつて非統合失調症性の妄想性精神病という意味で用いられた「パラノイアparanoia」とほぼ同義である.単一の妄想あるいは関連した一連の妄想が出現し,それが通常持続性であり,時に生涯続くことを特徴とし,器質性の障害,統合失調症,気分障害として分類できないさまざまな障害が含まれる.安定した明確な妄想体系を呈するが,妄想以外の面では人格は多くの正常な側面を保っている点が,精神病症状に加えて広範な人格の解体がみられる統合失調症とは異なる.幻覚が存在することがあるが,通常顕著でなく,妄想性の誤認や錯覚としばしば区別困難である.妄想に対する二次的反応として,抑うつなど気分の異常がみられることがある.妄想の内容によって下記の類型に下位分類される.これらが組み合わさっている例もある.
1.被害型 persecutory type
周囲の中立的な事柄を曲解することから