診療支援
治療

緊張病(カタトニア)
catatonia
大久保善朗
(日本医科大学大学院教授・精神・行動医学)

◆疾患概念

【定義・病型】

 緊張病catatoniaは,Kahl-baumの緊張病にその概念の起源をもち,無動症,無言症,昏迷,カタレプシー,命令自動,姿勢保持,常動症,拒絶症,反響言語など,姿勢,動作,言語に関して意思発動の障害を呈する特徴的な症候群である.Kahl-baumの緊張病は循環性の経過をとる予後良好なものを含んでいたが,のちのKraepelinは慢性に経過して荒廃に至る経過の緊張病に注目して,早発痴呆の一亜型として包含した.その考え方が引き継がれ,長い間,緊張病は統合失調症の一亜型として診断されてきた.しかしながら,緊張病は,統合失調症よりも気分障害,特に双極性障害において認められることが多く,身体疾患に伴う精神症状として認められることも少なくない.また,発熱や自律神経失調を合併した悪性緊張病ではさらに重篤な身体合併症の危険性が高く,治療の遅れは致死的な転帰をもたらすことがある

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