◆疾患概念
【定義・病型】
治療抵抗性統合失調症とは反応性不良統合失調症および耐容性不良統合失調症の2つからなる.このうち,反応性不良患者とは数種類の抗精神病薬をそれぞれ十分な量,十分な期間投与したにもかかわらず,十分な反応が得られなかった統合失調症患者のことを指し,耐容性不良患者とは錐体外路症状などの副作用のために抗精神病薬を十分量使用できなかった統合失調症患者のことを指す.
【疫学】
国立精神科病院の入院患者を対象において2004年に実施された調査によると,わが国の統合失調症患者の約10-30%が治療抵抗性統合失調症に該当すると推定されている.
【経過・予後】
治療抵抗性統合失調症に対して,これまでに他の向精神薬の併用,電気けいれん療法(ECT),オランザピン薬薬の高用量投与などといったさまざまな治療法が試みられてきたが,現在のところ有効性が確立されているのはクロザピン薬(クロザリル)による薬物療法のみである.ただし,クロザピン投与によってもなお十分な改善が得られない「クロザピン抵抗性患者」も少なくなく,治療抵抗性患者の40-70%に上るとされている.
◆診断のポイント
治療抵抗性統合失調症と判断する際には,必ず最初に病歴の再評価を行い,おおもとの「統合失調症」という診断が妥当であるか確認するべきである.というのは,治療抵抗性統合失調症と考えられていた患者の病歴を再評価したところ,46%で「統合失調症」という診断が変更されたという報告があるからである.
「統合失調症」の診断が妥当であった場合には治療抵抗性統合失調症の診断基準に合致するかを確認する.表1図は現在のわが国で採用されている治療抵抗性統合失調症の診断基準であるが,それによると,反応性不良統合失調症患者とは新規抗精神病薬1種類を含む2種類以上の抗精神病薬を十分な量投与したにもかかわらずGAF評点で41点以上に相当する状態
関連リンク
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