◆疾患概念
【定義・病型】
抜毛症とは,習慣的に自分の体毛(頭髪,眉毛,睫毛など)を抜くために脱毛巣を生じる疾患である.DSM-Ⅳ-TRやICD-10では衝動制御の障害に分類されていたが,新しいDSM-5では強迫症および関連症群のなかに位置づけられた.抜毛直前の緊張感や抜毛後の満足感や解放感を伴うことがあるが,患者は必ずしも抜毛行為を意識していないこともある.一般には,テレビ鑑賞中や就寝前,読書中,勉強中に何の気なしに抜毛することが多い.抜いた毛を食べてしまうこともあるし,まれな例だが,食べた結果,胃毛石trichobezoarを生じることもある.
【病態・病因】
子どもでは,攻撃的な衝動や寂しさを和らげる手段として子どもが発達させる習癖として理解できる症例も多い.抜毛はウィニコットWinnicott DWのいう「移行現象」の病的な形と考える研究者もある.生地らが示したように,発症時期で分類す