◆疾患概念
【定義・病型】
頻回に手術を反復して受ける症例を指す.頻回手術症ともいう.強い腹痛の訴えにより腹部手術を繰り返したり,難治性の腰痛で脊椎手術を繰り返したり,醜形恐怖症により美容整形を繰り返すなど,さまざまな症例が報告されている.多くは自覚的訴えと客観的な身体所見に隔たりが大きい.概念を提唱したMenningerによれば,ポリサージェリーは焦点的な自己破壊,すなわち部分的自殺でもあるが,自殺や自傷と異なり自分以外の人の手によって行われることで,患者の被虐的欲求や受け身的女性的役割を演じるなどの無意識の目的を満たしているという.
小此木はポリサージェリーを,手術を頻回に求める異常心理および実際に手術を繰り返す嗜癖的傾向と定義し,異常心理や深層心理的な動機を重視した.また,同一局面や器官に繰り返し行われる固執型ポリサージェリーと,多数の局面や器官に行われる移動型ポリサージェリーに分類し