診療支援
治療

パーソナリティ障害の概念
concept of personality disorders
井上弘寿
(自治医科大学・精神医学)
加藤 敏
(小山富士見台病院・院長(栃木))

【概念】

 パーソナリティは,ある人をその他の人と区別させる,その人独自の考え方,感じ方,行動の仕方,対人関係のもち方として表現される個人の傾向性であり,生来の素質が身体的基盤の変化および環境や体験によって発展したものである.パーソナリティは対人関係に多大な影響を及ぼす.よって,精神障害をもつ人のパーソナリティを把握することは,良好な医師-患者関係を築くうえで肝要である.

 わが国を含め国際的に広く用いられている精神障害の診断分類であるDSMおよびICDは,正常と質的に異なるパーソナリティ障害のカテゴリーが存在するという想定に基づき,カテゴリカルな診断方式を採用し続けてきた.しかし,従来のカテゴリカル方式に基づくパーソナリティ障害の概念には,概念自体の妥当性が疑問視されるような種々の問題-例えば,複数の異なるパーソナリティ障害を併存することがきわめて頻繁であること,同じパーソナリティ障害と診断

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