◆入院治療の対象となるパーソナリティ障害
パーソナリティ障害(PD)は,自己愛性・境界性・演技性・回避性などその特性による類型分類が使用され,同時に複数のPDに該当することが多いが,現実検討能力の高さや防衛機制のあり方など,その機能水準は個人によって多様である.入院治療を必要とすることが多いのは,重度のうつ状態や自傷行為・過量服薬・過食嘔吐など衝動行為を生じることが多い境界性PDや自己愛性PDなどの重症PDである.
◆重症パーソナリティ障害の治療
重症PDは対人関係を安定して保つことに困難を抱え,治療開始後に途中で脱落することが多いために,まずは治療者や治療機関との治療同盟を築き上げることに腐心する必要がある.主治医はこの点に留意しつつ全体の治療をマネジメントする役割をもち,利用可能な種々の治療資源や治療手段を活用することが求められる.そして重要なポイントは,治療の導入の段階から,本人と治療